Prototyping School Newsletter | 体験授業を終えて

皆さんこんにちは！プロトタイプの学校の企画・運営を行っているIDEO TokyoのDiceです。今回のニュースレターでは、11月1日から3週間連続で行った体験授業についての報告を行いたいと思います。

「プロトタイプの学校」体験授業と題してVol.1からVol.3の3回に分けて実施した今回の取り組みには、合計で69名の方にご参加頂きました。各回のテーマは、実働アプリのプロトタイピング、IoTデバイスのプロトタイピング、そしてAIを使った動画のプロトタイピング。それぞれにおいてIDEOのプロジェクトで実際に使用している手法やツールを紹介し、各グループのアイディアを4時間以内で発表可能な形にする、ということを行いました。

各回の参加者からのありがたいフィードバックを受けて、プロトタイプの学校のあるべき姿に向けて3つの学びがありました。

1. 乗り越えなければいけない我慢の時間が必ず生じる

プロトタイプの学校は「絵に書いた餅」を「食べられる餅」に一秒でも早く変換することを目的にしているため、それを可能にしてくれる様々なツールの手助けを借ります。そうしたノーコードツールやAIツールの初歩的な使い方を習得するためには、何かしらのレクチャーという「我慢」の時間が必ず生じてしまいます。特にプロトタイピングの経験が少ない人にとっては、この時間は苦痛になることは間違いないでしょう。しかしこの時間無くして何かを自ら作れるようになることは無い、というのも避けようのない事実です。よって、この我慢の時間のストレスをいかに少なくするかがカギとなります。体験授業の参加者の方の一人に「我慢の時間が発生するのは分かってたし、それがとてもうまく設計されていた」と言って頂けたのは、とても嬉しく感じました。

今回撮り貯めたチュートリアル動画等を今後どう活用していくかを検討していきます

2. IDEOというブランドが彷彿させる洗練さとプロトタイピングの泥臭さのギャップ

デザイン思考を筆頭に、クリエイティブなプロセスを体系化して届けてきたIDEOという会社だからこそ、良くも悪くもプロトタイピングという概念にも同等の期待値を持たれることは自然な成り行きです。一方で、プロトタイピングという行為そのものは、途方もなく無秩序で泥臭い行為です。言葉での議論という安全地帯をかなぐり捨てて、まだあやふやな考えに残酷なほどに形を授けていくある種乱暴な行為でさえあります。このギャップはいわば、IDEOというオーケストラが奏でる「プロトタイピング交響曲」を期待していたら、IDEOというパンクバンドがかき鳴らすロックフェスだった、というようなイメージでしょうか。期待値のギャップは少ないに越したことはないですが、プロトタイピングを実践することのリアルを体感頂けたことも大事だったと思っています。

「習うより慣れろ」と言う以外にかける言葉が無い時があります

3. やはり、今が転換期

ノーコードやAIが指数関数的に発達している今、プロトタイピングのスキルを今手に入れずして、いつ手に入れるのか？という仮設から始まったこのプロトタイプの学校ですが、体験授業の参加者の声をを聞いていく中でこの仮設が多くの人によって共有されているという確信へと変わりました。奇しくも落合陽一さんが最近Youtubeの番組でDALLE等のAIを使用しながら「シンギュラリティは2040年ではなく再来年に来る。移行期はまさにいま。これからは適応する人が勝つ時代」と言っていましたが、やはり日々何かを高速に作ることを実践していると、そのプロセスが大きく変わりつつあるのを嫌でも肌身で感じるタイミングなのだと思いました。

Vol.3では、DALLEやOpenAIのPlaygroundを使ってコンセプト動画の制作プロセスを刷新

ということで、体験授業に参加頂いた皆さんは本当にありがとうございました。今回の学びを活かしながら、現在は主に以下3点を中心に動いています。

• 企業向けのプログラムである「プロトタイプの学校 for Biz」の実施について、数社とディスカッションしながらプログラム編成や期間を精査。
• 体験授業で最もリクエストの多かった個人の社会人向けプログラムの提供内容の検討。特に、各々が必要としている知識の種類や深さの振れ幅が非常に大きい中で、どう提供することでそれぞれのニーズに応えられるのかがポイント。
• プロトタイプの学校の校舎となる倉庫の選定。

来年の4月の開校を目指して、引き続き爆速でプロトタイピングして参ります。