Prototyping School Newsletter | ファンクショナルプロトタイピングの進化

皆さんこんにちは！プロトタイプの学校の企画・運営を行っているIDEO TokyoのDiceと申します。改めて、「プロトタイプの学校」のニュースレターにご登録いただき、ありがとうございます。お陰様で現時点で800人を超える方々にご登録頂いており、学校や企業における「アイディアを自ら形にする」ことへの興味関心の高さを確認することができました。

今回のニュースレターでは、様々なプロトタイピング手法の中でも昨今最も発展が著しい「ファンクショナルプロトタイピング（価値や見た目ではなく、実際に機能することを目的としたプロトタイピング）」の進化についてご紹介したいと思います。

IDEOでは普段、あらゆる新規プロダクトや新規サービスのプロトタイピングを行っています。そのプロセスでは、様々なfidelity（どれほど実際のコンセプトを忠実に再現しているか）のプロトタイプを作ります。頭の中のイメージを齟齬なく伝えるためのスピード重視の「ダーティプロトタイプ」から、ユーザーに数週間使ってみてもらうためにコア機能を実装した「ファンクショナルプロトタイプ」まで。その際、どういうfidelityのプロトタイプを作るかは、「初めはクイックでダーティに、時間がかかるファンクショナルプロトタイピングは後で」が従来の原理原則でした。

しかし最近、そんなファンクショナルプロトタイピングの立ち位置が変わりつつある、と感じます。AIやノーコードツールの急激な発達によって、紙にスケッチするのと同じくらいの速度で機能性をもたせた実用可能なプロトタイプが作れるケースが生じてきたのです。時間がかかかるから後回しだったがファンクショナルプロトタイピングが爆速でできるようになった時、果たしてペーパープロトタイピングの役割はどうなるのでしょうか？

僕はこれを「プロトタイピングのリープフロッグ現象」と呼んでみます

これにはまだ僕も答えは出ていませんし、そのプロトタイプの用途や組織風土次第なところがあります。しかし一つだけ確実に言えるのは、ペーパープロトタイピングやモックアップ等といった「絵に描いた餅」よりも、実際に誰かのペインポイントに好影響を与えうる「食べられる餅」の方が作っていて圧倒的に楽しい、ということです。もう少し掘り下げると、作り手が課題感を感じていた問題に少しでも変化を与えるという小さな成功体験こそがCreative Confidence（IDEO流に言う自己効力感、self-efficacy）をぶち上げることに繋がります。

プロトタイプの学校では、プロトタイピングという行為の数あるメリットの中でも、その「Creative Confidenceの底上げ」に最も主軸を置いています。これまでは「私はエンジニアでもデザイナーでも無いから自分では作れない」と思っていた人に、誰でもできるプロトタイピングという武器を授けることで、「プロトタイプくらいなら自分でも作って変化を起こせるかもしれない」という考え方にエンパワーすることを最終ゴールとしています。起業や事業創出という結果もその副産物として当然出てくると確信していますが、私達の目的はあくまでも個人のCreative Confidenceの底上げです。

そんな一風変わった（？）プロトタイピングへの想いをひとまず3つのワークショップへ凝縮させたのが、来週11月1日（火）から3週連続で始まる体験授業です。Vol.1「実動アプリのプロトタイピング」はありがたいことに完売しましたが、若干数増席しました。まだVol.2とVol.3も若干の余裕があります。アイディアはあるのに形にするところで立ち往生してしまう、そんな心当たりがある方は、職種や専門に一切関係なく是非この機会にプロトタイピングの簡単さと楽しさ、そして威力を感じに来て頂ければ幸いです。