創業時からアクティビズム*を自認し、パーパスという概念が定着する以前から「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」ことを掲げるパタゴニア。彼らは、従来のアパレル事業に加え、プロビジョンズという食品事業を2012年から展開している。「新しいジャケットは5年か10年に一度しか買わない人も、一日三度の食事をする。我々が本気で地球を守りたいのなら、それを始めるのは食べ物だ」と創業者のイヴォン・シュイナードは語る。このように、明確な企業の存在意義は、新しい領域に進出する際に、社員を後押ししてくれる。余談だが、そのサバ缶を購入した際に、「あのパタゴニアが展開する商品だから、さぞかし色々と説明が書いてあるだろう」と思ったが、意外にパッケージデザインはすっきりしている。箱を隈なく見たら、箱のフラップの部分に「More Information Inside」とあるではないか。箱をバラすと、なんと中身に、いかに混獲(操業中に対象としていない魚や海洋生物を意図せずに漁獲してしまうこと)に気を遣っているかや、なぜサバなのかについての細かい説明があった。パタゴニアを買う人は、気づいてくれるだろう、というような消費者への信頼のようなものも感じられるデザインだ。
*パタゴニアは創業以来「アクティビズム・カンパニー」を掲げ、環境問題についての啓発活動や環境非営利団体の支援するだけでなく、自らも行動し、「企業としてのアクティビズム」を実践している。